予想外の展開ですが、欧州委員会は、標準必須特許(SEP)に関するEU規則案を取り下げる意向を表明しました。ここでは、グレッグ・ウォードとアレックス・ロイがこの表明の意味するところを考察します。
連絡先
グレッグ・ウォード | Connect on LinkedIn | gward@hlk-ip.com
アレックス・ロイ | Connect on LinkedIn | aroy@hlk-ip.com
意外なことに、欧州委員会は標準必須特許(SEP)に関するEU規則案を取り下げる意向を表明しました。
この規則案がEU加盟国により承認されれば、EUIPOにSEP登録簿が導入されるはずでした。登録されるSEPは必須性チェックを受けることになるため、侵害を申し立てる際の非登録SEPの使用は制限されると思われました。さらにこの規則案は、裁判外の拘束力のないFRAND裁定手続についても規定しており、ライセンシーまたはライセンサーにより要求されれば、この手続が必須義務となる予定でした。
規則案を取り下げる欧州委員会の意向の表明は、2025年の欧州委員会作業プログラムのここに示されています。取り下げに関して示された唯一の理由は、この問題に対する「予測可能な合意がない」ということでした。そもそも規則案を取り巻く未回答の疑問(例えば、SEPの必須性チェックを遂行するEUIPOの能力)や、規則案に対する域内外からの大きな反発を考えると、合意が予測できなかったのも驚くことではありません。
作業プログラムには、「欧州委員会は、別の提案を提出すべきか、それとも別の種類のアプローチを選択すべきかについて検討する」と示されています。それゆえ作業プログラムは、現在の形式によるEUの規則案が施行される可能性は低いものの、他の形式による何らかのSEP規則が誕生する可能性が残されていることを示唆しています。
作業プログラムは今回の取り下げについて、これ以上の詳細を示していませんが、今のところ作業プログラムの掲示以外に、欧州委員会からの公式発表はありません。
HLKでは、SEPの明細書作成、審査手続および訴訟に熟達した特許弁理士と事務弁護士のチームを用意しています。SEPについて助言が必要な場合は、この記事の著者たちに遠慮なくお問い合わせください。
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